SNSが当たり前となった今、多くの人が投稿するたびに「いいね」の数を気にしています。
誰かに認めてもらえた気がしてうれしくなったり、思ったより反応が少ないとがっかりしたり……そんな経験、きっと誰にでもあるのではないでしょうか。
けれど、それが日常になっていくと、いつの間にか「いいねの数=自分の価値」と思い込んでしまい、心が消耗してしまうこともあります。
この記事では、いいねの数に心が振り回されてしまう背景を心理学的に紐解きながら、どうすれば気持ちが軽くなるのかを考えていきます。
「いいね」で満たされたい心の正体
SNSの「いいね」は、承認欲求を満たす働きを持っています。
承認欲求とは「他人から認められたい」「価値ある存在だと感じたい」という人間にとって自然な心の働きです。
例えば「今日のコーデ」「手作りのお弁当」「思いのこもった言葉」など、自分なりに頑張ったことや大切な思いを投稿した時、多くのいいねがつくと「ちゃんと見てもらえた」「わたしって大丈夫なんだ」と安心感を得られます。
しかし、問題はこの安心感が「いいねの数」次第になってしまうこと。
いいねが多ければ満たされ、少なければ不安になり、さらに多くの反応を求めて疲れてしまう。
こうなると、SNSは本来の「楽しむ」場ではなく、「評価されるために頑張る」場へと変わってしまいます。
なぜ、こんなにも「いいね」が気になるのか?
心理学では「外的評価依存」と呼ばれる傾向があります。
これは、自分の価値や存在意義を他者の反応や評価によって決めてしまう状態のこと。
子どもの頃に「褒められることで愛された」「いい子でいると安心できた」という経験が強い場合、大人になっても他人の反応に過敏になることがあります。
SNSのいいねは、まさにその「反応」が数値化されて見えるため、依存性が高くなりやすいのです。
また、SNSには「比較」の罠もあります。
自分が必死に撮った写真より、何気なく載せた誰かの投稿のほうが反応が多いと、それだけで自分が劣っているような気がしてしまう。
他人のいいねの数を見て、自分と比較し、自信をなくす…そんな負のループに陥る人は少なくありません。
自分軸を取り戻すには
では、どうすれば「いいね」に一喜一憂しなくなるのでしょうか。
カギになるのは「自分軸」を取り戻すことです。自分軸とは、「他人がどう思うか」ではなく「自分がどう感じるか」「自分がどう在りたいか」を基準にする心の姿勢です。
たとえばSNSに投稿する前に、「これは誰かに認められたいから投稿するのか?」「それとも、自分の記録として残したいからなのか?」と問いかけてみると、自分の本音が見えてきます。
「たとえ反応が少なくても、これは私にとって大切な記録」と思えたなら、それはもう十分に価値ある投稿です。
自分の価値は、いいねの数では測れません。
あなたの努力、優しさ、こだわり、センス、それらはたとえ可視化されなくても、確かに存在しているし、誰かの心をそっと支えているかもしれません。
心が軽くなる5つのヒント
SNSとの距離を見直す
反応が気になって仕方ないときは、一度SNSから少し距離を取ってみるのもおすすめです。
スマホを開くたびに「いいね」が気になるなら、通知をオフにする、見る時間を決める、投稿しない日をつくるなど、意識的なルールを取り入れてみましょう。
「いいねされたい」気持ちを否定しない
いいねが欲しくなるのは、自然な感情です。
「承認欲求=悪いこと」と決めつけると、自己否定につながってしまいます。
大切なのは、その気持ちに気づき、振り回されすぎないようにすること。
例えるなら電車の中で誰かが大声で話していても自分は耳を澄まさずに過ごせる、そんな距離感を目指しましょう。
フォロワーや投稿の目的を明確にする
「誰のために投稿しているのか?」という視点も大事です。
たとえば本当に届けたい相手は、身近な友達や家族だけかもしれません。
だったら、「広くバズる」より「たった一人に届く」ことを大切にしてみる。数ではなく、質のコミュニケーションを目指すと、気持ちがぐっとラクになります。
自分を認める習慣をつくる
「今日これをがんばった」「この発想、面白いな」と、自分で自分を認める練習をしていきましょう。
日記やメモにその日の小さな達成を記録していくのも効果的です。
他人に評価されなくても、自分で自分を満たせるようになると、SNSに頼らなくても心が穏やかになります。
気持ちを言葉にしてみる
「いいねが気になって疲れてしまった」と誰かに話すだけで、心が軽くなることもあります。
できる人に聞いてもらったり、カウンセリングを活用したりするのも選択肢の一つです。
気持ちを外に出すことで、自分でも気づいていなかった思いが見えてくることもあります。
「SNS疲れ」に気づける人は、やさしい人
SNSでいいねを気にする人は、裏を返せば「人の目を気にする繊細さ」や「人とつながりたいという思いやり」がある人です。
だからこそ疲れてしまうし、心を削ってしまうのです。
けれど、そのやさしさやまっすぐさは、決して悪いものではありません。
大切なのは、その優しさを「他人のためだけ」に使うのではなく、自分自身にも向けてあげること。
「もう疲れた」「でも見てしまう」…
そんな葛藤に悩んでいるあなたはちゃんと自分と向き合おうとしてる証拠です。
少しずつ、無理のないペースで、「自分の心が本当に満たされるもの」を見つけていけますように。
さいごに:あなたの価値は、いいねの数じゃ決まらない
SNSは便利で楽しいツールですが、それに振り回されてしまうと、心のバランスが崩れてしまうこともあります。
でも、大丈夫です。あなたの価値は、誰かがつけた「いいね」の数では決まりません。
もっと大きく、もっと深く、あなた自身が決めていけるものです。
もし今、少しでも「いいねに振り回されてしんどいな」と感じているなら、それは心のSOSです。
その声に気づいてあげられるあなたは、とても優しく、強い人です。
SNSとの付き合い方を見直すことで、もっと心地よく、自分らしい日々が見つかるはずです。