SNSを見ていると、誰かの「成功」がたくさん目に入ってきます。
高級ホテルでの食事、海外旅行、ハイブランドのファッション、そして年収の話…。
そんな投稿を見るたびに、胸がザワザワして、自分が情けなく思えてくる。
「なんで自分は、あの人みたいになれないんだろう」
そんなふうに、比較のループに陥ってしまっていませんか？
この記事では、SNSが引き起こす「劣等感」の正体と、その苦しさを少しずつやわらげる方法を、心理カウンセラーの視点から解説していきます。
あなたの心が、少しでも軽くなりますように。
なぜSNSを見ると劣等感が強くなるのか
SNSは「ハイライト」だけを見せる場所
SNSに投稿されるのは、人生の一部分だけです。
しかもそれは、多くの場合“キラキラした瞬間”です。
私たちは、他人の「ベストシーン」と、自分の「ありのまま」を比べてしまっています。
それは、映画のワンシーンと舞台裏を比べるようなものです。
比較すればするほど、自分の生活が地味でつまらないものに感じてしまうのは、自然な反応なのです。
「ステータス」や「年収」は分かりやすい競争軸
数字や肩書は、他人と比べやすいものです。
フォロワー数、年収、学歴、勤め先…。
これらは自分の価値を測る「物差し」のように思えます。
でも、それらが本当に“あなたのすべて”を表しているでしょうか？
他人に比べて足りないところばかりを見ていると、気づかないうちに自分の本当の魅力を見失ってしまいます。
比較癖は「自分の価値」が不安なときに強くなる
「自分はこれでいいのかな」と不安を感じている時ほど、他人が羨ましく感じます。
それは、自分の中にまだ自信の“空白”があるからです。
他人との比較は、その空白を埋めようとする自然な心の動きでもあるのです。
劣等感を少しずつ手放していくヒント
「今の自分」にしかない価値を見つけてみる
高い収入や華やかな生活がないと、価値がないわけではありません。
たとえば、人の話をちゃんと聞ける、思いやりがある、動物にやさしい、仕事に丁寧さがある…。
こうしたことも、確かな“価値”です。
ノートに、自分の良いところを10個書いてみてください。
はじめは難しくても、少しずつでも見えてきます。
「SNSはエンタメ」と割り切ってみる
SNSはあくまで、ひとつの“ショーウィンドウ”のようなものです。
素敵な投稿も、現実のすべてではないと知ることで、見方が変わってきます。
比較しそうなときには「これは作品みたいなもの」と心でつぶやいてみてください。
少し気持ちに距離ができて、冷静さが戻ってきます。
比較対象を「昨日の自分」に変えてみる
他人と比べるのではなく、昨日の自分と比べてみると、自分の中の小さな成長に気づきやすくなります。
- 昨日より早起きできた
- 無理せず休めた
- 人に優しくできた
こうした些細な変化が、あなたの「自信の土台」になります。
比較に飲み込まれそうなときの心の守り方
SNSから少し離れてみる
一時的にアプリを消してみる、通知をオフにしてみるなどの「デジタルデトックス」を試してみましょう。
はじめは落ち着かないかもしれませんが、数日経つと驚くほど心が軽くなっていることに気づきます。
比較の感情を「否定しない」
「また比べて落ち込んでる自分ってダメだな」そんなふうに責めなくて大丈夫です。
比較したくなるのは、人間として自然なことです。
「今ちょっと心が疲れてるんだな」と優しく気づいてあげることが、回復への第一歩です。
信頼できる人に気持ちを話してみる
友達や家族、信頼できる人に「こんなことで落ち込んでた」と打ち明けてみましょう。
誰かに話すだけで、不思議と気持ちが整っていくことがあります。
必要なら、カウンセラーに相談するのも、とても良い選択です。
自分を大切にするSNSとの付き合い方
SNSの使い方には、正解も不正解もありません。
でも、自分の心が苦しくなるような付き合い方をしているなら、ちょっと立ち止まってみてもいいかもしれません。
「自分を追い込まない距離感」でSNSと向き合えるようになると、心の余裕が少しずつ戻ってきます。
そのためには、「いいね」や「ステータス」に振り回されずに、自分の価値を自分で認めていく力が必要です。
それは、今すぐ完璧にできなくても大丈夫。少しずつ、育てていけばいいのです。
まとめ
SNSで人の投稿を見るたびに、自分が小さく思えてしまうこと。
それは誰もが一度は感じたことのある、心の揺れです。
でもその苦しさに、あなた一人だけが取り残されているわけではありません。
他人の人生を眺める前に、自分の今日という日を、少しだけ労わってみてください。
比べることで気づける自分の価値もありますが、比べないことでしか見えない大切なものも、きっとあります。
あなたは、あなたのままで、すでに価値ある存在です。
ゆっくりでもいい。自分自身との関係を、少しずつ優しく整えていきましょう。