朝、目覚めてまず手に取るのはスマホ。
気づけばSNSを開き、何気なくタイムラインを眺めている。
疲れる。モヤモヤする。それでもまた、指が勝手にSNSのアイコンに伸びてしまう。
そんな自分を責めていませんか。
「意志が弱いのかな」「見るたびに落ち込むのに、なんでやめられないんだろう」——。
このテーマは、今や多くの人が直面しているこころの悩みの一つです。
本記事では、SNSにしんどさを感じながらもやめられない理由を心理学的な視点から紐解きつつ、自分らしく穏やかにSNSと付き合う方法を探っていきます。
SNSを開くのが「習慣」になっている
SNSをしんどいと思いながらもつい開いてしまう。
それは、意志の弱さではありません。
多くの場合、それは「習慣」になっているからです。
習慣とは、繰り返し行動することで自動化された行動のこと。
朝起きたら歯を磨くように、退屈したらSNSを開くという行動が無意識に定着しているのです。
SNSは通知や「いいね」など、小さな報酬をこまめに与える仕組みになっています。
この「小さな快感」が脳に記憶され、自然とその行動が繰り返される。
つまり、あなたがSNSを開くのは、ある意味とても“自然なこと”でもあるのです。
しんどくなる理由は「比較」と「情報の過剰摂取」
では、なぜSNSを見ているとしんどくなるのでしょうか。
その大きな理由のひとつが、他人との「比較」です。
SNSでは、人の楽しい瞬間、成果、充実感が切り取られて投稿されます。
それを見たとき、無意識のうちに「自分にはないもの」として受け取ってしまうのです。
もうひとつは、情報の過剰摂取。
多くの投稿が一度に目に入り、頭の中は他人の声や情報でいっぱいになります。
そうすると、自分の思考や感情を感じる余白がなくなり、息苦しさやモヤモヤにつながっていきます。
それでもSNSを開いてしまう理由
情報に疲れて、落ち込んで、やめたいと思ってもやめられない。
この矛盾には、人間の心理が深く関わっています。
私たちは「承認欲求」を持っています。
SNSはその承認欲求を満たしてくれる場でもあるのです。
- 誰かに見てもらいたい
- つながっていたい
- 取り残されたくない
そんな思いが、SNSへの執着を強めます。
また、SNSを見ている間は「現実のしんどさを忘れられる」側面もあります。
つまり、SNSが“逃げ場”や“気晴らし”になっていることもあるのです。
自分を責めないことが、まず最初の一歩
ここで大切なのは、「ついSNSを見てしまう自分」を責めないこと。
これはとても重要なポイントです。
私たちは、自分を責めることで「もっと努力しよう」と思いがちですが、実際には自己批判はエネルギーを消耗させてしまいます。
SNSとの関係に疲れているときこそ、まずは自分に「よくがんばってるね」と声をかけてあげてください。
しんどさを抱えながらも日々を過ごしているあなたは、もう十分に努力しています。
だから、解決の第一歩は「やめなきゃ」ではなく「しんどくても、がんばってるな」と自分をねぎらうことからです。
SNSとの距離を整えるヒント
では、ここからは実際に、SNSとのつきあい方を見直すためのヒントをお伝えします。
通知をオフにする
まず試してみてほしいのが、SNSの「通知」をオフにすることです。
通知が来るたびにスマホを手に取り、タイムラインを開いてしまう。
このサイクルを断ち切るには、物理的な“きっかけ”を減らすのが有効です。
通知がなくなると、スマホを手にする頻度は自然と減っていきます。
スマホのホーム画面からSNSアプリを外す
これも有効な方法です。
手が無意識にSNSのアイコンに伸びるのを防ぐためにあえてアプリを2〜3階層深いフォルダに入れるなど、少しだけ“手間”をかけてみましょう。
その「ワンクッション」が、習慣を断ち切るきっかけになります。
投稿を見る時間を決める
- 〇時〜〇時までだけ見る
- 1日に1回、15分だけ
こうして“枠”を決めると、自分でコントロールしている感覚が生まれます。
ポイントは、「完全にやめよう」としないこと。
無理なく続けられるルールにすることが大切です。
心の“空白”を取り戻す時間をつくる
SNSに触れていない時間、たとえば散歩をする、音楽を聴く、ただぼーっとする、日記を書く。
そういった“情報が流れ込まない時間”が、心の空白を取り戻してくれます。
しんどさは「詰め込みすぎた心」から来ていることも多いのです。
自分の感情を感じる時間を意識的に取っていくことが、心を整える手助けになります。
「見ない自分」を育てていく感覚で
SNSとの距離感は、人によってちょうどいいバランスが違います。
だから「こうすべき」ではなく、「自分に合った使い方」を見つけていくことが大切です。
すぐにやめよう、変えようとしなくても大丈夫。
少しずつ「見ない自分」「開かない選択」を育てていく——そんな感覚で取り組んでみてください。
そして何より大事なのは、SNSに触れているあなたがどんな気持ちになるか、という“感情の声”にちゃんと耳を傾けること。
心の違和感を無視せず、大切にしていけたら、SNSはもっと安心して使えるツールに変わっていきます。
まとめ:SNSのせいじゃなく、心の声を大切に
SNSが悪いわけでも、あなたが悪いわけでもありません。
ただ少し、心の声を置き去りにしていたのかもしれません。
だからこそ今、自分のしんどさをちゃんと受けとめて「自分に合ったSNSの使い方ってなんだろう」と、問いかけてみること。
それが、これからのSNSとの関係性をやさしく変える第一歩になります。
あなたには、SNSに振り回されない自由がある。そして、心地よく過ごす力もちゃんと持っています。
焦らず、やさしく、自分のペースで進んでいきましょう。