SNS(特にX〈旧Twitter〉など)の世界では、顔が見えない分、心ない言葉が簡単に飛び交ってしまうことがあります。
悪口や誹謗中傷を受けたとき、その言葉に深く傷つき、病んでしまうのは決して弱さではありません。
誰でも、無防備な状態で攻撃を受ければ心が痛むのは当然のことです。
この記事では、SNSでの誹謗中傷による心のダメージについて深く掘り下げながら、傷ついた心を守り、少しずつ回復していくための具体的な方法を、心理カウンセラーの視点からわかりやすく紹介します。
SNSで誹謗中傷を受けるとき、心の中で起きていること
「自分を否定された」という感覚
悪口や攻撃的なコメントを受けると、まるで自分自身を全否定されたかのような感覚に陥ることがあります。
SNS上のたった一言でも、心には大きな傷を残してしまうのです。
「みんながそう思っているのでは」と感じる
一部の人の意見でも、可視化されてしまうSNSでは「みんなに嫌われた」と感じてしまいやすくなります。
実際はごく一部の声でも、心には大きな重みとなってのしかかります。
恐怖と無力感
「また何か書かれるかも」「どうしようもできない」といった恐怖や無力感も、SNSで中傷を受けたときによく生まれる感情です。
この感覚が積み重なると、不安障害や抑うつ状態に進行してしまうこともあります。
まずは自分を守るためにできること
すぐにSNSから距離を取る
まず最初にやってほしいのは、SNSから物理的に離れることです。
見ること、読むことをやめるだけでも、心への刺激を減らすことができます。
一時的にアプリをアンインストールする、ログアウトするだけでも十分効果があります。
ブロック・ミュート機能を活用する
自分を攻撃してくるアカウントは、遠慮なくブロックしましょう。
「反応したら負け」と思うかもしれませんが、何よりも大切なのは、あなたの心の安全。
必要なら、見たくないキーワードもミュート設定にして、自分を守ってください。
信頼できる人に話す
ひとりで抱え込むと、心の傷はどんどん大きくなってしまいます。
信頼できる友人や家族、または専門家に話すだけでも、心が少し軽くなります。
こんなことで相談していいのかなと思わず、あなたの苦しみは十分に相談に値します。
SNS誹謗中傷が心に与える影響
自己肯定感の低下
悪意のある言葉にさらされ続けると、自分の存在そのものを否定されたような気持ちになり、自信を失いやすくなります。
「自分はダメな人間だ」といった考えが頭を支配してしまうこともあります。
不安症や抑うつ症状
SNSでのトラウマは、心身にさまざまな不調を引き起こす可能性があります。
不安が強くなったり、眠れなくなったり、何もする気が起きなくなったりすることもあるでしょう。
社交不安の悪化
「どうせまた嫌われる」と感じて、人と関わることそのものが怖くなってしまうこともあります。
大切な人間関係まで避けたくなってしまうのは、心がそれだけ傷ついている証拠です。
誹謗中傷に対して心を守る考え方
「相手の問題」と捉える
攻撃してくる人の言葉は、その人自身の心の問題を反映していることがほとんどです。
あなたに原因があるとは限りません。
むしろ、誰かを攻撃することでしか自分を保てない人の問題だと理解しておきましょう。
すべてを真に受けない
SNSの世界は、一部分の意見しか映し出していません。
あなたを知りもしない誰かの言葉を、あなた自身のすべての評価にしてしまう必要はないのです。
本当に大切な声に耳を傾ける
あなたのことを本当に理解している人たちは、SNSの向こうではなく、あなたの身近にいます。
誹謗中傷に耳を傾ける代わりに、信頼できる人の温かい言葉に目を向けましょう。
それでも苦しいときにできる具体的対策
心を休ませる時間をつくる
SNSから距離を置くことに加えて、自然に触れたり、好きな音楽を聴いたり、リラックスできる時間を意識的に作りましょう。
心と身体のリズムを取り戻すことが、回復への第一歩です。
日記を書く
心のモヤモヤを言葉にすることで、気持ちが整理されやすくなります。
日記には、悪い感情だけでなく、今日少しでもよかったことや感謝できることも書き添えると、心のバランスが整いやすくなります。
カウンセリングを受ける
自分一人でどうにもならないと感じたときは、迷わず専門家を頼ってください。
心理カウンセラーは、あなたが安心して気持ちを話せる場を提供し、回復をサポートしてくれます。
誹謗中傷に立ち向かう社会的手段もある
もしあまりにも悪質な誹謗中傷であれば、泣き寝入りする必要はありません。
弁護士に相談したり、プラットフォームに報告することで、加害者に法的措置を取ることもできます。
心を回復するには、安心できる環境を自分のために整えることも、大切な自己防衛です。
さいごに
SNSは、本来人と人をつなぐための素晴らしいツールです。
しかし、使い方を間違えれば、簡単に心を傷つける刃にもなり得ます。
悪口や誹謗中傷を受けたあなたは、決して弱いわけではありません。
人間として当然の反応です。
自分を責めないでください。
心の痛みを無理に押し込めるのではなく、寄り添いながら少しずつ癒していきましょう。
あなたには、傷つけられるべき理由などどこにもありません。あなたの価値は、どんな言葉にも脅かされないものです。
あなたが再び、安心して自分らしく笑える日が来ることを、心から願っています。