SNSを眺めていると、時々こんな気持ちになることはありませんか。
- この人、有名大学出てるんだ…。
- 自分とは違う世界の人みたい。
- なんで自分はもっと頑張れなかったんだろう。
それまで気にしていなかったはずの「学歴」という言葉が、急に胸の中に重くのしかかってくる。そのたびに、自分の過去を責めてしまったり、今の自分の価値まで疑ってしまう。
SNSには、肩書きや経歴といった「目に見える立派さ」が溢れています。
そして、それを見れば見るほど、自分の人生の「足りないところ」ばかりが気になってしまう。
この記事では、SNS上で「学歴」によって自信を失いかけている方に向けて、なぜそのように感じてしまうのか、その思考の正体と、どうすれば心の軸を取り戻していけるのかを、心理カウンセラーとして、やさしく寄り添いながらお話していきます。
なぜSNSは「学歴コンプレックス」を刺激してくるのか
本来、「学歴」は過去の一部にすぎません。
それがどうして今こんなにも私たちを苦しめるのでしょうか。
そのひとつの要因が、SNSの持つ「比較の構造」にあります。
SNSは日記でもメモ帳でもありません。他者からの反応や評価がつく、いわば「舞台」のような空間です。
そしてその舞台では、「学歴の高さ」「仕事の華やかさ」「能力の高さ」など、誰かと比べやすいものが大きくクローズアップされます。
自分にはないものが、誰かのプロフィールにあるとき、まるで自分がその分だけ価値の低い存在になったような気がしてしまうのです。
学歴が「自信の基準」になる背景には何があるのか
実は、学歴にこだわりを感じる背景には、「自分の価値は、何かによって証明されなければならない」という思い込みが隠れていることがあります。
これは多くの人が、子どもの頃から社会に刷り込まれてきた価値観です。
- 良い大学に行けば将来安泰。
- 学歴が高い=頭が良い=すごい人。
- 偏差値が高い学校に入れば、人生うまくいく。
こうしたメッセージが周囲から繰り返されることで、無意識のうちに「自分もそうならなければ」と思い込んでしまっていることが多いのです。
しかし、学歴は人生の「通過点」にすぎません。
本来それが、その人の人間性や能力すべてを決めるものではないのです。
「学歴だけがすべてではない」と言われても納得できないとき
よく、「学歴がすべてじゃないよ」と励まされることがあります。
でも、落ち込んでいるときにこの言葉を聞くと、どこかモヤモヤしてしまうことはありませんか。
それは、「比べてしまうこと自体」が悪いことのように感じてしまい、かえって自分を責めてしまうからです。
大切なのは、「比べてしまうことは人間として自然な反応だ」とまずは受け入れることです。
誰だって、自分にないものを持っている人を見たら気持ちが揺れます。
それは当たり前のことです。
そのうえで、「自分はなぜそれに心が反応してしまうのか?」と、少しだけ内面に目を向けてみることが大切です。
あなたが本当にほしかったのは「学歴」ではなく「安心感」かもしれない
学歴のある人を見ると不安になる。
その不安の根っこには、こうした気持ちが隠れていませんか。
- ちゃんと認められたい。
- 人並みに生きていたい。
- 安心して毎日を送りたい。
つまり、「学歴そのもの」よりも、それを持っている人が得ているように見える「人生の安定感」や「自信」がうらやましくなっているのかもしれません。
そしてその感情は、あなたが「いまの自分を受け入れられていない」と感じているサインでもあるのです。
心がざわついたときにできる3つのこと
SNSで他人の学歴を見て落ち込んでしまったとき、少しでも気持ちを整えるために、以下のことを試してみてください。
① 「学歴に頼らない強み」を紙に書き出してみる
- 人に優しい。
- 空気が読める。
- 気配りができる。
- 地道に努力できる。
学歴とは別の、自分の良さや得意なことをできるだけ具体的に書き出してみましょう。
見えない価値は、目に見える形にすると自信につながっていきます。
② SNSのプロフィールや投稿から「学歴」を切り離して見る
「この人はすごい経歴の人だ」と思うと、何を言っていても「正しく」見えてしまいます。
けれど、それは幻想です。
いったん学歴情報を見なかったことにして、その人の発言の内容だけに注目してみてください。
すると、案外「共感できる」と感じたり、「それって極端だな」と冷静に思えたりすることもあります。
人は、肩書きや背景に惑わされやすい生き物です。
意識して、情報を切り離して見る練習をしていくことも大切です。
③ SNSから少し距離をとる時間をつくる
どうしても苦しくなってしまうときは、一時的にSNSから離れるのも有効です。
一日だけでもスマホを開かない日を作ったり、アプリを一時的に削除してみるなど、「他人の人生を見ない時間」を意識的に取り入れてみてください。
その時間は、あなた自身の声に耳を傾ける貴重な時間になります。
あなたの価値は、学歴では測れない
学歴が立派な人を見ると、「自分にはそんな肩書きがない。」
「自分の人生は間違っていたのではないか」と落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
けれど、あなたの人生は「いまこの瞬間」も続いています。
過去がどうだったかよりも、「これからどう生きるか」のほうがずっと大切です。
あなたにしかできない経験や、出会えない人たちが、これからの道にたくさん待っています。
その道に必要なのは、「過去の学歴」ではなく「これから何を大切にしていくか」という視点です。
最後に:自分の人生を、自分のペースで育てていく
SNSは、人の「ハイライト」ばかりが見える世界です。
学歴も、仕事も、表彰も、すごい実績も。
でも、それが「その人のすべて」ではありません。
そして、あなたの人生も、肩書きだけで語れるものではないはずです。
大切なのは、他人の人生と比べることではなく、「自分にとっての満足」や「自分らしい幸せ」を少しずつ見つけていくことです。
今ここからでも、十分間に合います。
もしまた心がざわついてしまったら、どうか思い出してください。
あなたの価値は、他人の学歴や肩書きでは、絶対に測れないということを。